雪が積もっている


 子どもの頃は、朝、目がさめて窓の外など見なくても、夜のうちに雪が積もった知らせを感じとることができた。なにか、冷え冷えとした空気とおもての音の反響のぐあいからであろうか。布団のなかでついに雪が積もったことを確信して、気持ちが高揚したものである。
 いまや、雪なんてじゃまなものでしかない。ああ、くそったれな雪よ、積もりやがったのか。カーテンをあけてはじめて知る。