ぐるぐるぐるぐる空回り


 気ばかり急いてことが進まないがな。


 「○○をやろう」「○○をやらねば」という「意思」はあるのだが、その「意思」の車輪ばかりが先に先にとぐるぐると空回りし、「オレ」はついていけないよって感じ。「意思」に取り残される「オレ」。
 ついていけない「オレ」は何? 取り残される「オレ」は誰?
 「意思」にあらがうそれは「心」だろうか。それは「身体」だろうか。


 「意思」の反対、「イシ」の反対だから、それは「シイ」?
 「シイ」は「恣意」じゃろか? それとも「思惟」じゃろか?
 「志位」じゃねえよな。彼は断固としている。鉄の志位、鋼の書記局長でござぁんす。


 なんて、何言ってんねん、オレ。って「オレ」にツッコミ入れてるのも「オレ」なんかい?


 はやる「意思」を沈めようと思って(その「思って」んのは誰だよって思うわけだが)、反「意思」のような Happy Mondays を聴いてみたけど。
 だめだがな。よけいに焦りまする。
 ぐるぐる高速空回りする「意思」にほんろうされる「オレ」と、Happy Mondays は軋轢を起こしまするです。Mondays をば、私は誤解していたのかもしれない。


 彼らは、「意思」が従属せしめることのできない「身体」に任せて、あるいは目的をもたずにさすらう「心」に正直に、音楽をやっていると思っていたのだ。むろん、想像でしかないのだけど、彼らはめいめいが勝手に音鳴らしているうちに、気持ちいいリズムとかのパターンをたまたま見つけたらそれを延々だらだらと続けているっていう印象があったのだ。展開なんてものも乏しく、楽曲を全体として構成しようなんていう「意思」もなく。行き当たりばったりの快の追求。
「げひっ、これおもしろくないか?」
「ぐふっ、おもしれえなあ。おれもまぜろ!」
「がははは、気持ちええなあ」
 てなふうに、思うがままに、感じるままに、気持ちのむくままに、なすがままに、宵越しの銭は持たねえぜオレらは、みたいに。


 ああ、だが、今聴いてみると、彼らもまた強靱な「意思」をもって演奏しているように感ぜられる。徹頭徹尾断固堕落してやるぜみたいな「決意」が感じられるぜよ。っていうのは「オレ」の妄想なんだだろうか。
 ここでも、半端な「オレ」は取り残されてるよ。