ニッポン


 街を歩いていると、やたらと「日本」という文字が目につく。たしか、今年はオリンピックイヤーでなかったはずだけどなあ。
 「日本を、あきらめない」(民主党ポスター)とか「日本を前へ」(公明党ポスター)とか。「新党日本」などという名の政党(何ですかこれは?)のコピーは、「信じられる日本へ」だってよ*1


 なめてんだろうか。「日本」なんて知ったこっちゃないぜ。誰だよ、そいつ? そんなヤツと会ったこともないしな。
 そんな得体のしれないもんよりも、私(たち)の窮状を何とかしてくれよ、という人も大勢いるだろうに。大勢は、いないんだろうか。いずれにせよ、困っている人を助けるのが「政治」だと思いまあす、はい。なんてことを今どき言ったら、「あなたアホウですか?」と思われるのでしょうね。はい、アホウですのよ。
 あと、「信じられる日本へ」などというのは、海外向けになにがしかのメッセージを送るならともかく、国内の有権者の信頼を獲得しようとする職業政治家が言うべきことなのか、とも思った。むしろ、「信じられる政治へ」とか「信じられる公共サービスへ」とか、言うべきところじゃないのかって。「信じられる」かどうか問われているのは、君たちでしょうが、ふざけるんじゃありませんよ。とちょっと思った。


 いっそ、国号を「にっぽん」から「にゃっぽん」に変えるといいと思った。表記はひらがなで。
 「にゃっぽんを前へ」「にゃっぽんを、あきらめない」「信じられるにゃっぽんへ」。リキ入ってるくせに無意味な文句も、脱力無効化してしまうさまが、素敵だなあと思う。これぞ、やまとごころだ、と思った。
 「にゃっぽん」と真顔で発話してもらったら、その人のひととなりが分かるような気がする。「にゃっぽんにゃっぽん」言っても哀愁をただよわせている、そんな人に私はなりたい。コータイシデンカなんて、けっこうそういう人なんじゃないかな。

*1:ありゃ! この党のサイトのURLは、"love-nippon.com"だってよ。