アナム&マキ/この地球をたゆたう
ゆったりとして雄大なバラード。
もうこの曲は、なんといっても2人のコーラスが絶品。終盤のフェイドアウトするところでアナムによるエレキのスライドが入ったりするほかは、ほとんど2人のボーカルと2本のアコギ、それにベースとドラムだけで音を作っている。だというのに、サビのところなんて、まるでオーケストラの演奏を聴いているかのような重厚感がある。
最初に聴いたときには、ついつい耳を凝らしてしまった。シンセサイザーなどで音を入れていないよなあって。入れてないんですよ。ボーカルやアコギにエコーがかかっているんだけど、この重厚感は、彼女たちの歌とギターのうまさが作りだしているんじゃないかという気がする。
彼女たちの曲としては、そんなにギターの目立つ曲ではない。でも、アコギの響きが、絶妙の余韻を残していて、それが曲に重厚感をもたせる一因になっているのではないかと思われる。
そんなふうに聴かせるのには、なにか秘訣というか、トリックがあるはずで、そういうところを論理化したいものだと思うのだけど、とうてい今の私の手には負えませぬ。2人のギターの役割分担によるコードワークの巧みさとか。7thなどのテンションコードが多用されているのに全然いやみでなく、さりげなく決まってるんだよなあとか。低音・高音のバランスとか。音を切ったり伸ばしたりの差異、あるいは複数弦をパーンと同時に鳴らす和音とジャラランと時間差をつけて鳴らす和音の差異を、効果的に配置しているということなんだろうなあとか。
こうして書いてみると、全部「基本的なこと」ではあって、そんなことしか私には言えない。当分、聴きまくって勉強するしかないっす。論理化できたらきっとおもしろいと思う。
あと、この曲のコーラス。メインのボーカルはアナム。アナムのつやがあって感情のこもった歌声に、マキの低音が絶妙にからんでいる。
サビでのマキのコーラスがすばらしい。すこし遅れて小さく入ってきて、そこからぐーんと力強くのびていくコーラスが作りだしている重厚感は、圧巻。かと思うと、ずっしりと低くてしぶーい地声をすっと使ったりして、もうほんとうに、これだけのことを2人だけの声でやっちまうのかよ、と思います。
彼女たちの場合、楽器をいっぱい使って音を厚くする必要はないのだと思う。よく、レノンとマッカートニー2人の声で歌えない歌はないということを言うが(言うんですか? 知りませんけど)、アナム&マキにも同じことが言えると思う。
私なんぞがゴタク並べるより、実際聴いてみればよい、ということで探してみたら、視聴できるところがありましたよ。彼女たちの所属するレーベル(atugua records)のサイトです。
http://www.office-augusta.com/atsugua/
アルバム全曲のさわりが視聴できます。今日とりあげた「この地球をたゆたう」はサビだけ聴けます。同じアルバムの「ピカピカ光る」という曲は、曲全部のPVを視聴できます。これもよい曲。
下に、ついでに「この地球をたゆたう」のAメロのアルペジオのパターンのタブをのっけておきます。1箇所ちょっと自信がないんだけど、たぶんこんな感じ、だと思いますよ、たぶん。
E-|-------------------------------------- B-|-------------------------------------- G-|-----0-------0-------5---------------- D-|---7-------7-------5------------------ A-|-5-----5---------0-----0-5-------3-5-- E-|---------6-----6---------3-3-3-5------