椅子取りゲーム

 何回目になるか分かんないけど、喫茶店で他人の話ぬすみ聞きしたよシリーズ。ジャーン!!!


 初老の男性と中年の女性のカップル。夫婦ではないようだ。となるとつい聞き耳をたててしまうのが人情ってものじゃないですか。いや、聞き耳をたてなくても、聞こえてきたんだよ。
 何の話をしているかと思いきや、株取引きの話。私は株のことなんか何も知らないのですが、お2人とも年季の入った投資家という風であった。落ち着いた感じの老紳士のひとこと。
ライブドアに捜査が入ったから株価が下がったんじゃないですよ。市場が頂点に達しているときにこそ荒っぽいことをやる人が出てくるんです。損を出した人はいろいろ言ってるけれど、時期的には12月に売り切っているんじゃないといけなかった。」
 要するに、くだんの事件は株価下落の原因ではなく、すでに株価が頭を打っていたことの結果にすぎないのだということか。もちろん、私には妥当性を判断する能力はないんだけど、印象深い言葉じゃあありませんか。
 世の中には、ひとつのことがらをめぐって、この老紳士のように「必然」とみる人と、世の大多数の「事件」とみる人の2種類がいる。というかむしろ、「必然性」がみえる位置と「事件」しかみえない位置がある。多くの人は「必然性」を眺望できる位置を手に入れようとするんだけど、私なんかはたいてい「事件」しかみえぬ位置にとどまるわけで、でもなんかくやしいから事後的にふりかえってみて「最初から結果は分かってたんだぜ」ってふりをするのさ。