Japanese Civil War

 イエーイ、内戦が近いぞ! ニッポンに内乱を。吉里吉里国よふたたび!
 前々から、なにかと「民主主義国家である日本において」うんぬんとブログなどに書くやからが気にくわなかったのだが、そんなことにいらだつ日々よ、おさらばだ。
 国民投票法案が、与党の賛成多数で衆議院を通過したのだという。これが「全会一致」ではなく「賛成多数」で可決されたことの意味は大きいと思う。なぜなら、かりに近い将来、国民投票を経てめでたく廃憲*1とあいなったとしても、彼らはもはやそこに一片の正当性を主張することもできなくなったからだ。「全会一致」でなかったことによって、彼らはこんご達成すべき目標の正当性をみずから否定したことになる。
 この法案は、たんなる法ではなく、法の変更手続きを定めた「法の上の法」と言ってよい。こうした手続き法とは、言うなれば意思決定のルールそのものを規定するものなのだから、それが全会一致で定められたのでない限り、これにもとづく意思決定に正当性を主張することはできない。したがって、今後予想される国会による「憲法改正」の発議も、これにもとづいた国民投票の結果も、すべて無効化することになる。ゲームの一方の当事者が勝手に自分に都合のよいルールを設定したのでは、ゲームそのものが無効である。
 「民主主義国家」というのは、「国民みずからが統治する」という擬制(fiction)によってみずからの正当性を主張していたわけだが、このたび与党は「そういうかったるい衣装はもう脱ぎ捨てますからね」という意思表示をしたということだ。「これからは、むき出しの国家権力(暴力)をどんどん発動させますよ。人民のみなさまは自分が主権者だなんて勘違いしないでね」とはっきり言ってくれたのだ。
 めでたいことである。これで安倍くんたちにとっては「戦後政治の総決算」(包茎を治して一人前の男になること)に決定的な一歩を踏み出せたのだし、人民としても政府が態度をはっきりさせてくれるのはありがたいことである。
 「民主主義国家である日本では」なんて世迷いごとを言う人は少なくなるだろうし、政府・警察・自衛隊・入国管理局がなんら正当性も正統性も持たぬ暴力機構でしかないという認識が広く共有されるようになるだろう。議員の選挙はあいかわらず行なわれるにしても、落選した候補者は敗北を認めず、「選挙そのものに不正があり、結果は無効である」と主張し、地元に帰って武装にとりかかるだろう。政府はその正統性において幕府のレベルに落ちぶれ、地方では戦国大名どもが割拠するであろう。海上には、日・中・朝・韓の人民が混淆した海賊が暴れまわり、諸政府の軍隊の手を焼かせるだろう。若者たるもの、やたら分別くさい「規範意識」はかなぐり捨てて、盗んだ車で飲酒運転、路上喫煙(当然、吸い殻は火がついたままポイ捨て)、有産階級の私有財産に落書きする、金物をかっぱらって換金する、建築物のネジを緩めてまわる、カラスたちにエサをやってかれらの繁殖を助ける、「片づけられない主婦」になって自分の部屋をゴミ屋敷にして近隣住民に迷惑をかけて差し上げる、など楽しくやろう。やつらの書いたルールなんてすべて無効だ。白河の清きに魚は棲みかねるので、話のわかる警官には賄賂を贈ってトモダチになり、彼らの組織を腐敗させるエコ運動を推進しよう。不幸にして大地震が襲ってきたりしても、朝鮮人社会主義者のせいにせず、みんなで助け合おう。
 なんて日が近い将来やってこないかしらね。

*1:自称「改憲派」のもくろみを「改憲」と表現するのは正しくない。彼らが目指しているのは、国家権力に対する制限の規定としての憲法を骨抜きにすることにほかならないのだからして、それは憲法の「改正」でも「改悪」でもなく、「廃止」と理解するのが正しい。「創憲」と言うにいたっては、もう大嘘としか言いようがないね。