24時間営業

 台風が来る夜だというのに、出かけるんじゃなかった。帰り道、500円のコンビニ傘は、へなへなに折れ曲がるは、骨が4本も抜けて尖端が露出するは、あっという間に使い物にならなくなった。
 24時間営業のファミレスにこもって雑務をやっていたのだが、ふと疑問に思った。客もまばらな深夜に店を開けているのは、どういう意図があってのことなのだろうか。なにか純粋に経営的な合理性があるのだろうか。
 私はよく夜中にファミレスを利用させてもらうのだけれど、午前1時2時ともなれば、客は4,5人いるかどうかだし、へたすれば私1人ということもざらである。しかも、そんな時間帯の客はといえば、私もふくめ、食事をすませた後ドリンクバーでだらだら長時間ねばるような者ばかりなのだし、人件費や光熱費を考えたら、とうてい採算がとれるとは思えない。
 午後10時11時といった飲み屋以外の飲食店がのきなみ閉まってしまう時間帯なら、たしかに来客は見込めるだろうし、実際けっこう混んでいたりもする。だから、0時閉店の朝6時開店とかにした方が、収支のプラスを最大化できるんじゃないだろうか、と素人考えでは思ってしまう。
 それとも10時〜11時の客の入りを最大化するためには、0時〜6時といった、その時間帯だけみれば採算のとれない深夜も店を開けっぱなしにしておくのが有効だということなのだろうか。客からすると、閉店まぎわに店に飛び込むのは気がひけるのも事実で、それなら家でメシ食うか、という選択をする確率は高くなる。その点、閉まる心配がない、店がずっと開いているということだと、ちょっと遅めの時間でも客はつい足を向けてしまうものなのかもしれない。「もう遅いから今日はやめとこう」という発想を、客は喪失してしまうわけだ。10時や11時という遅い時間でも、平気で出かけてしまう。その「ちょっと遅めの時間」を繁盛させるためには、店を閉めたり開けたりという区切りは取っ払うかわりに、円環を閉じて終日営業とするのが効率的だということなのかもしれない。
 なんにしても、0時から6時のような時間帯だけを切り取って判断するなら、おそらく収支が赤字になっているだろうことは確実だろうから、そんな時間にテーブルに紙を広げて延々となにごとかを書き込んでいる私のような客や、ドリンクバーを頻繁におかわりしながらノートパソコンをカタカタたたいてる客や、一晩中だべっているヤンキー風の若者は、店にとって直接利益をもたらす存在ではないのだろう。店としては、個別の客というより、むしろ行動科学が対象とするようなメカニズムとしての「消費者」を相手にしているのだろう。デュルケムだったか誰だったか社会学者が、個人の総和以上の意味をもつものとしての「社会的事実」こそが社会学のあつかうべき対象であるみたいなことを書いているのを、むかし大学生だった頃に社会学入門だかという授業で読まされた記憶があるのだが、そんなことはきょうびの経営者にとっては言わずもがなの常識なんだろうな。
 それにしても疑問に思うのは、ジョ○サンのコーヒーはほんとうにコーヒーなのだろうか、ということである。あれぜったいコーヒーとは別種の豆つかってるって。