The Beatles / Something

 バンドでこの曲をやったりしてるんで、最近よく聴いている。あらためて思うのは、けったいなベースだなということ。ポコポコポンポンと妙な具合に動きまわるベースラインなのだけど、全体から突出するわけではなく、静かな曲調を堅実に支えている。
 他のパートを「引っ張る」というより、みんなの後ろからトコトコ「ついていく」というおもむきのプレイ。私が弾くと、そういう感じがうまく出ずに、毎度他パートをぐいぐいせっついてしまって、結果、バラードなのにピッチがだんだん速くなるというブチ壊しの展開になるのであった。むう〜。
 それにしても、ポール・マッカートニーは大嫌い(というのはウソでちょっとだけ好き)だけど、すごいね。こんなへんてこりんなベースライン、どこから湧いてくるんだろうか。
 そりゃあ、彼クラスのミュージシャンの発想を、私ごときがそうそう理解できるわけはないんだけど。でも、たとえば同じアルバムの "Maxwell's Silver Hammer" なんかだと、浅薄なレベルで想像はつかないこともないのだ。ボワッ、ボワッという、いつ聴いても笑ってしまう間の抜けたベースは、低音の金管楽器(チューバとかトロンボーン)みたいなニュアンスをねらって出してるんだろう、と。
 しかし、"Something" のマッカートニーは何だろうね、これは。どんな必然性があって、こんなベースになるのか。
 というようなことを最近ずっと考えているのだ。ひとつ思いついたのは、ボーカルとのバランスを考えると、こういうベースに行き着くよりほかなかったのではないか、ということ。ジョージ・ハリソンのかよわく柔らかな声は、ストリングスやギターをあんまり重厚にしたのでは台無しになってしまう。実際、ストリングスおよびギター(あとシンセ使ってる?)は若干、抑え気味に入っていると言える気がする。そのぶんベースがうるさくならないように動きまわって(言うは易しだが、これをマッカートニーが実際うまくやっているのは離れ業といってもよいのかも)、コード感を出して厚みを補っている、ということなのかしらね。


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