高校の倫理

 先日ひとから高等学校で使っている「倫理」なる教科の教科書(文科省*1検定済みの正規の*2「教科書」ではなくて「副読本」扱いの教材なんだそうですが)をちらりと見せてもらう機会があった。
 すごいのね。前ソクラテスもふくめたギリシャ哲学から、三大宗教、儒教道教、さらにデカルト、ベーコンに、カントやらヘーゲルやらマルクスやらニーチェやらハイデガーやら、あと西田キタローもいたよ、とにかく網羅的っていうの? すげえなあ。
 こんなものを教えられる高校の倫理の先生ってどんだけ博覧強記な人たちなんだ、といたく感心したのであった。名前のあがっている著作のすべてを読んでるのでなければ、恐ろしくて教壇に立てないよな。私も高校時代に「倫理」という教科を受けていたはずなのだけど、私的な読書の時間にあてていたのでまともに聞いていなかったのだった。もったいないことをした。質問攻めにしてさしあげればよかった。
 あともうひとつ驚いたのが、この教科書とやら(副読本ですけど)をぱらぱら読んでみても、私にはさっぱり理解できなかったこと。「これかあれか」とか「これもあれも」とか、ゴチックになってて「ここ重要だぞ」という執筆者の気合いは伝わってくるのだが、内容説明読んでも全然意味わかんねえ。すげえな、高等学校の生徒諸君は。こんな難しいの読んで勉強してんだ。日本もしばらく安泰ですな。翻訳でも岩波文庫や中公の世界の名著シリーズなどでショーペンハウエルとかニーチェとかマルクスとかの著作をじかに読んだ方が、よっぽど分かりやすいと思った。

*1:ウンコ

*2:教科書に「正規」なんてものがあること自体、あほくさい