ニッポンの先住民族
せんだって(6月6日)、「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が衆参両議院で可決されました。
くにがアイヌを「先住民族」とみとめるとは、どういうことでしょうか。わたしのかんがえるに、こういうことです。つまり、それは日本という国家および和人が、ほんらいアイヌのものである土地と資源を歴史的に侵略・収奪してきたこと、またいまも侵略しているということを、事実認識としてみとめ、かつ、そのことを不当だとかんがえる、ということ。
ところが、アイヌの先住民としての権利をうったえてきた鈴木宗男代議士でさえ、つぎのように書いているのをみると、こんかいの「決議」ではまだまだじゅうぶんでない、という おもいがいたします。
●ムネオ日記(2008年6月6日づけ)
北方四島の先住民族もアイヌ民族であり、サハリンも同じである。「北方領土はアイヌ民族が先住民族であり、そのアイヌ民族は日本国民である。歴史的事実を踏まえて、ぜひとも北方領土を日本に返して戴きたい」というアプローチも、ロシアに対してできる。サハリンではガス、油が掘られている。「メドベージェフ大統領、この地を開拓したのもアイヌ民族です。日本に優先的にエネルギー供給をお願いしたい」と言うこともできる。
アイヌ民族を先住民族と認めることで、日本もやっと国際的スタンダードに立ち、価値観を共有することになった。これからが始まりである*1。
まるで、ニッポン政府がアイヌというコマをつかって将棋をさしているかのようです。
ほんとうにアイヌを「先住民族」とみとめるのであれば、いわゆる「北方領土」をかえすさきは「日本」ではないだろうし、ガスや油といった資源にアクセスする権利も「日本」のものではないでしょう。
鈴木さんのりくつは、ふたたび引用すると、こうです。すなわち、「北方領土はアイヌ民族が先住民族であり、そのアイヌ民族は日本国民である」、したがって「北方領土を日本に返して戴きたい」と。いいかえると、北方領土はアイヌのもの、アイヌのものはニッポンのもの、だからニッポンに返せ、ってことですよね、これ。
しかし、先住民であるアイヌのひとびとをかってに「日本国民」にしたのは、侵略国家ニッポンなわけでしょう。「アイヌのものはニッポンのもの」というようなりくつは、いくらなんでも、とおらないんじゃないでしょうか。
原則論としていうなら、ロシアとニッポンの交渉いぜんに、まず、ニッポンが アイヌからうばったアイヌの土地や資源を アイヌに きちんとかえす、っていうのがスジではないでしょうか。「ニッポンの先住民族」ということばが、いやしくも「先住民族のものはニッポンのもの」とゆーことを意味するのではなく、「ニッポンがやってくるまえに住んでいたひとびと」を意味するのであれば。
*1:強調はわたくし