Jack Johnson / on and on


 先日、昼飯に入った店でかかっていた音楽が素敵だったので、店の人に「今かかってるの何ですか?」と聞いて初めて知ったミュージシャン。即日、アルバムを買ってきた。
 はてなキーワードにも登録されているし、言及している日記も多い。有名な人なのね。こりゃいいですよ。最近の流行りにはうといもので――などと言うことを私はかれこれ10年以上言っているわけだけど――うかつにも今まで知らなかった。
 ハワイの人で、サーファーなんだって。


 ささやくボーカル、ベース、ドラムに、アコギか軽くひずませたエレキギターという簡単な装備。けだるく落ち着いた演奏ながら、おもしろいグルーヴ感が出ている。そんなところは、デビュー時のレニー・クラヴィッツをちょっと彷彿とさせる。
 軽く憂鬱な湿っぽさと明るさが両立しているんだけど、こういうのに私はくすぐられるのですよ。アメリカ産のポップミュージックにはあまりない、英国的なタイプだと思う。まあ、この人はハワイアンだし、このグローバル化の進んだご時世に「アメリカ的」とか「英国的」とか「大陸的」とか「島国的」とかのくくり方は、もはや意味をなさないのだろうけど。


 ギターも本人が弾いているらしいですが、うまいです、この人は。派手さはないけれど、相当に研究され計算されているんだろうなあという気がする。ミュートの絶妙なさじ加減*1によるメリハリのつけ方や、コードの使い方も、すごく洗練されている感じ。エゴ過剰のあざといギミックは一切無し。しかしながら、ところどころに「お?」とか「あれ?」とか思うコードが入っていたりして、聴いている側の意識はいい具合に微妙にずらされる。
 なんだか、全然具体的でない話になってしまって、書いている自分としてももどかしいや。そのうち時間ができたら、この人のギターをがんばって真似して解析してみようと思う。研究意欲をそそられまする。

*1:どの弦を消音するかによって、同じ名前のつくコードであっても、聞こえ方のニュアンスが異なってくる。また、ある弦を消音したりしなかったりによってリズムにアクセントをつけられる。あと、左手で弦に軽く触れて振動を殺した状態で弾くと、「ブラッシング」や「空ピッキング」といってシャカシャカとパーカッシヴな音を得られる、など、ギターのもっとも重要な技術はミュート(消音)にあると言えるんですね。たんなる他人の受け売りですけど、いかに弾くかではなく、いかに弾かないか、ということがギターの場合肝心なところでもあり、また難しいところなんだそうですよ。私もたしかにそうだと思いますよ。