買ったCD3点

 週末に買ったCDがいずれもアタリだった。うれしい。
 簡単に感想など。


You Could Have It So Much Better

You Could Have It So Much Better


 前からこの人たちのことは気になっていたんだけど、聴くのは初めて。
 しかし……。なんデスカ、これは!?
 ふざけているのかマジなのか分からないが(たぶんその両方なのでしょう)、露悪趣味のやつらだなあ。めまぐるしくキャッチーなメロディがくり出されるのだけど、それがひどく投げやりな感じ。ちょい出ししてすぐ引っ込めて次に行ってしまう。
 よっぽど躁なのか、それとも沈思して計画的に練っているのか。どの曲も、ちょっといかれた展開のスピードです。
 ジャンルとしてみるなら全然別だろうけど、これ、ラモーンズ・メソッドと言えるかもしれない。メロディのひとつひとつの単位はおそろしくチープと言えるほどポップなんだけど、聴く側からするとそこに浸りきることは許されない。すぐにメロディが変わったりテンポが変化したりと、次に行ってしまうから。いわゆる「俗受けしそうな」メロディをぽんぽん出しては、聴き手が没入する前にずらしてしまう。かといって、「お前らはこういうのが好きなんだろう」みたいな、斜に構えた嫌みったらしさはない。その「俗受けしそうな」メロディが、すごく気持ちよく入ってくる。そんなところが、ラモーンズと似ている感じがする。
 あと、ベースがおかしい。1曲目の妙にスラーをかました脳天気にはじけたベースが、もう何やってても頭から離れない。助けてくれ。




Ain't Life Grand

Ain't Life Grand


 スラッシュのヘビ穴。
 いやあ、いいっす。スラッシュさん。さすがです。
 この人のギター・フレーズはひたすらしつこい。粘着質。まさしくヘビがのたうちまわっている感じ。手癖で弾くおなじみのパターンの速弾きもいいんだけど、この人の、ワウを操りながらやわらかめのトーンで奏でるスライド・プレイは本当に絶品だと思う。
 リフでがんがん押しまくる。きれいな開放的なメロディをちょこっとだけ入れたかと思うと、またリフで押しまくる。強迫的で陰鬱で重い感触は、Guns N' Roses よりも、Velvet Revolver のノリに近い。不健康な地下のにおいはたまらんね。こんなことを言うのは今どきバカげて聞こえるのは承知しているのだけど、不良ってかっこいいよ、うん。




AEROSMITH / Come Together

 ブートレッグ。ベース音はもう少し大きめで聴きたいけど、音は悪くない。たまに音が途切れたり音量が下がったりするけど。"Live at Pacific Ampitheater, Costa Mesa, CA, September 14, 1988" だそうだ。アルバム "Permanent Vacation" のツアーらしい。2CD、15曲。
 Google で検索しても、リンク切れのサイトがひとつ出てくるだけで、情報がない。もしかして、レア物を手に入れちゃったんだろうか。
 かれらの十八番の Come Togetherのカバーが聴けるだけでお得。ビートルズの名曲もこの人たちが演奏すると、卑猥になる。"Mama Kin" や "Same Old Song And Dance" や "Sweet Emotion" などの初期猥褻名曲群も演奏している。
 彼らは、ライブになると、また初期の曲ほど変態っぽくて好きだ。なんというか過剰。「お前ひとこと多いんだよ」と言いたくなる余計さがうれしい。スティーヴン・タイラーの「ウアキャキャキャキャキャー」という絶叫なんか、まるでお猿さん。そこでそう叫ぶ意味は何だというところで「ウアキャキャ」をやる。ヤツは隙があったら絶対に見逃さずに奇声をあげる。
 ミスター・ジョー・ファッキン・ペリー(とタイラーに紹介されていた)の手癖まるだしのアドリブも可笑しい。この人はソロでのりすぎて、しばしば終われないのね。行き当たりばったりで弾いている感じがすてき。リズム隊は大変だろうと思う。ドラムがときどきズダダダしばいて、「いいかげん終われよコラ!」と合図を出しているように聞こえる。そんなことを想像しながら聴くのもライブ盤の楽しみ。お互いに相手の呼吸をはかりながら演奏しているのが生々しく伝わってくる人たちです。