DEREK AND THE DOMINOS──LITTLE WING


 なるべく毎日更新をしたいものだと思う。間があくと次に書き始めるまでのエネルギーを余計に必要とするような気がする。しかも、書き始める前に力を使うと、むだに長々しい文章を書かないと、気がすまないように思えて、がんばりすぎてしまう。長文を書くのは書きたいことがあるときに限定しよう。
 そういうわけで、習慣化できて10分くらいで書きあげられるような話題があればよいだろうと考え、[今日の一曲]というカテゴリをあらたに設定した。前回と前々回の日記で、さんざん「曲」という単位がどうのこうのと言ってたくせにである。ぱっと思いついた曲について、ぱっと短く書く。そんなつもり。


 で、記念すべき1回目は、なんて書くとまた気合いが入って長くなりかねないが、Eric Clapton の参加した DEREK AND THE DOMINOS による LITTLE WING である。「愛しのレイラ」の収められたアルバムに収録されている。
 LITTLE WING は、Jimi Hendrix による名バラード。Hendrix が自分のアルバムで、音数をおさえて淡々と演奏し、もったいないほどの短時間できりあげている(2分24秒!)のに対し、クラプトンらのカバーはかなり冗長で湿った感触がする。
 カントリー風のだるさが心地よい。ギター、キーボードが作り出すサイケデリックなモワモワ感と、クラプトンの枯れた細いシャウトがうまいことからみあっている。節ごとの歌い出しではコーラスがリードボーカルをうかがうようにして微妙にずれて入り、帳尻をあわせるようにあとから適当に合わせていく。この相手ををみての調整の息づかいの伝わってくるところが、なんともルーズでメランコリックな感じをかもしだす。昔、旅先のインドでマリファナをキメたときの気分を思い出す。うそです。インドに行ったことはありません。
 ギターもだるい。もってまわったようなゆっくりしたチョーキング。クラプトンの得意とするところの、いわゆる「泣きのギター」全開なのだが、曲調、というか演奏がだるくウェットなのと、ギターを含めて音の輪郭をぼやけさせているので、切ないというより、デカダンスの香りがする。
 疲れているけど、清涼剤なんていらねえぜ、酒飲んで寝るだけなんだから、というときに聴くとよいと思う。