AEROSMITH / Same Old Song And Dance


 エアロスミスの初期(セカンド・アルバム収録)の作品。この曲は、彼らの長いキャリアのなかでも、最高傑作のひとつではないだろうか。


 なんと言いますか、グルーヴというのもはばかられるような、ふざけたノリなのでございます。
 実は、この曲について前にも書こうとしたことがあったのですが、なんと表現したらいいのか途方に暮れてしまい、放り出していたのでした。今回も、さっきからリピートでかけながらこうして書き出してみたけれども、このふざけたノリがどうして生じているのか、よくつかめないのである。


 リズムはきわめて単調で、へたをすればそのまま行進曲に使えてしまいそうな感じ。
 で、弛緩したへんてこなギターリフがかぶさってくる。このリフがまた、渋さとは対極にあるような、わざとかっこわるくしているとしか思えないものなのだ。軽快というより軽薄。
 しかも、歌うのがあの変態スティーヴン・タイラー様ですから、ますます曲の変態ぶりに拍車がかかるのは言うまでもない。
 ジョー・ペリー十八番のスライド奏法きかせまくりののギターソロ(2分20秒ごろ)*1は、見事なもので、他の曲でこれをやったら、「おお、ブルーズィー!」としんみりもすると思う。しかしながら、あのふまじめなリフに重なるものだから、スライド特有のゆるい感じも相まって、ゆるゆるの相乗効果で、聴く者は骨抜きにされてしまう。ギターソロという、ハードロックではひとつのクライマックスであるべきところで、へなへな感がピークに達する(というのも支離滅裂な表現だが)のだ。それがかなり気持ちよかったりする。


 これ、どっかで行進曲に使って欲しい。それもなるべく緊張感のあるまじめな場面で。高校野球の開会式でもいいし、軍隊の式典でもいい。きっと、高校球児や兵隊はガニマタでよたよた歩くことになると思う。微妙に首を横に揺らしながらへらへらと。

*1:たしかベストアルバムのどれか(いくつかあるのね、ベストが)では、このソロがカットされて編集されていたと思う。もったいないことをする。