The Clash / London Calling

 昨日買ったベースの練習曲として、ザ・クラッシュの曲をいくつかコピーしている日曜日。朝からずっと弾きどおしで、"London Calling" なんてCDに合わせて 20回くらい弾いたんじゃないかと思う。相変わらず指弾きはダメで、ピックばかり使ってるんだけど。



YouTube - The Clash - London Calling (sound edited)


 この曲、行進のリズムなのである。マイナー調の行進曲。
 ロックンロールは、いわばブルーズの亜流・傍流なのであって、プリミティブなるものを志向する傾向が一般的にあるような気がするのだけど、クラッシュは "London Calling" においてプリミティブとは真逆の、近代的規律訓練型権力なる軍隊の行進のリズムを採り入れているのである(って自分で書いてて意味わかりませんけど)。
 しかし、この曲も、彼らの他の曲同様、ちゃんとエロいのである。軍服などの制服にフェティッシュな嗜好を持つ人が少なくないのだから、行進も実はエロいものなのかもしれない。そう言えば昔、運動会やら中体連の大会やらで開会式の行進というのをよくやらされたものだけど、ああいうのはどこか滑稽なもので、その滑稽なことを真面目くさった顔してやらなければならない、というのがエロかったような気がする。
 格式というのは、追求すればするほど、それやたしかに*1外観は真面目っぽくなっていくのだが、それは同時に形骸化でもあって、淫靡な色というのがだんだんと出てくる。形骸化した建物には淫らな精神が住まう。ように見える。
 "London Calling" も、真面目くさった顔をしている。マイナー調の陰鬱さが、行進曲には案外合うものだと思った。行進曲は、そもそも兵士を死地に送るための曲なんだから、勇壮なメジャー調ではなく、憂鬱なマイナー調が「正解」なのだろう(そう言えば、あの滅亡した大日本帝国の軍歌はマイナー調のものばかりですね)。
 ところで、先に書いたとおり、この曲のベースを練習しているところなんだけど、非常にかっこいいベース・プレイであります。ちょっと線が細くて生々しい音触りが気持ちいいし、あと「止め」が少しゆるい感じがするのが、いいんじゃないかと思う。Aメロでのベースのことを言っているのだけど、鋭くブレーキかけて放り出すという感じではなく、ややだらしなく音が伸びているのが、やわらかな余韻になっていていいなあと思います。

*1:しばらく前に横光利一の『上海』を読んでたら、「そりゃあ」にあたると思われる間投詞が「それや」と表記されていて、ちょっと気に入っていたので使ってみた。